エステと美容医療の契約には、法律で決まった八日間がある
一定の期間と金額を超える契約は、特定継続的役務提供として特定商取引法の対象になります。書面を受け取った日から八日間は、理由を問わず解除できます。途中でやめるときの上限額も政令にあります。
もとになった資料
- 資料
- 特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)第四十一条、第四十二条、第四十八条、第四十九条
- 写した日
- 立場
- 体づくり・美容の資格も実務経験もない書き手が、原文を写しています
08 / 08 契約のきまり
写真:Clinic and waiting-room of Dr. D. Hutchinson and partners. Wellcome L0014004.jpg / 不明 / CC BY 4.0 (Wikimedia Commons)
エステや美容医療は、何回かに分けて受ける契約になることが多いものです。こうした契約には、特定商取引法という法律の章が一つ当てられています。
第四章の特定継続的役務提供です。第四十一条から第五十条までが、この形の契約について定めています。
対象になるかどうかは、期間と金額で決まる
第四十一条第一項は、政令で定める期間を超える期間にわたり提供し、政令で定める金額を超える金銭を支払う契約を、特定継続的役務提供としています。
その政令が、特定商取引に関する法律施行令です。第二十四条第二項に「法第四十一条第一項第一号の政令で定める金額は、五万円とする。」とあります。
期間のほうは、別表第四の第二欄に役務ごとに書かれています。エステにあたる一の項と、美容医療にあたる二の項は、どちらも一月です。
一の項の書き方は「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うこと」です。役務の中身で定められています。
二の項は、これに歯牙を漂白することが加わり、医学的処置・手術その他の治療を行うこととされています。美容を目的とするものに限られます。
つまり、期間が一月を超え、かつ金額が五万円を超えているときに、この章の決まりが働きます。どちらか一方だけでは対象になりません。
第四十一条第二項は、対象となる役務の性格も定めています。身体の美化などの目的で誘引が行われ、その目的が実現するかどうかが確実でないもの、とされています。
八日間のあいだにできること
第四十八条第一項が、いわゆるクーリング・オフの定めです。書面を受領した日から起算して八日を経過したときを除き、契約の解除を行うことができるとしています。
解除は書面または電磁的記録によって行います。効力が生じる時点も決まっていて、通知を発した時とされています。届いた時ではありません。
解除したときに、事業者は損害賠償や違約金の支払を請求することができません。第四十八条第四項が、そう定めています。
すでに施術を受けていた場合も同じです。第六項は、既に役務の提供が行われたときであっても、対価その他の金銭の支払を請求できないとしています。
受け取っている金銭があれば、速やかに返還しなければならないとされています。これらに反する特約で不利なものは、無効になります。
八日を過ぎたあとの中途解約
八日を過ぎても、契約を終わらせる道は残っています。第四十九条第一項は、将来に向かって解除を行うことができると定めています。
このとき事業者が請求できる金額には上限があります。損害賠償額の予定や違約金の定めがあるときでも、その上限を超えて請求することはできません。
上限は二つの部分でできています。すでに提供された役務の対価に相当する額と、解除によって通常生ずる損害の額として政令で定める額の合計です。
政令で定める額は、別表第四の第三欄にあります。エステにあたる一の項は、二万円または契約残額の百分の十に相当する額のいずれか低い額です。
美容医療にあたる二の項は、五万円または契約残額の百分の二十に相当する額のいずれか低い額とされています。役務によって上限が違います。
まだ施術が始まっていない場合は、別の欄が使われます。第四欄の額で、一の項も二の項も二万円です。
契約残額の意味も別表に書かれています。役務の対価の総額から、提供された役務の対価に相当する額を控除した額のことです。
一緒に買った商品にも及ぶ
施術と一緒に商品を買う契約も、同じ八日間の対象になります。第四十八条第二項が、関連商品販売契約について同様とすると定めています。
関連商品は政令の別表第五に並んでいます。エステの一の項では、人が摂取する動植物の加工品、化粧品・石けん・浴用剤、下着、そして美容器具です。
美容医療の二の項では、人が摂取する動植物の加工品、化粧品、歯の漂白用のマウスピースと漂白剤、美容を目的とする医薬品・医薬部外品とされています。
ただし但し書きがあります。使用や一部の消費で価額が著しく減少するおそれがあるものとして政令で定めるものを使ってしまった場合は、この限りでないとされています。
その対象は別表第五の一の項のイとロ、および二の項の全部です。食べてしまった健康食品や、開けて使った化粧品が当てはまります。
なお契約の前後には、書面の交付が義務づけられています。第四十二条は、契約を締結するまでに概要書面を、締結したら遅滞なく契約書面を交付するとしています。
八日を数える起点は、この契約書面を受け取った日です。書面の日付は、期間を確かめるうえでいちばん大事な手がかりになります。
特定商取引に関する法律 第41条・第48条・第49条