保健機能食品は三つあって、国の関わり方が違う
トクホ、機能性表示食品、栄養機能食品。この三つは並んで売られていますが、国が許可するもの、届け出るだけのもの、基準に当てはめるだけのものと、関わり方がまったく違います。
もとになった資料
- 資料
- 食品表示基準(平成二十七年内閣府令第十号)第二条、第三条、別表第九、別表第十一
- 写した日
- 立場
- 体づくり・美容の資格も実務経験もない書き手が、原文を写しています
05 / 08 食べものの制度
写真:Royal Palace - Staircase (Naples) 01.jpg / Bernard Gagnon / CC BY 4.0 (Wikimedia Commons)
体づくりや美容の売り場には、体への働きが書かれた食品が並んでいます。書き方は似ていても、うしろにある制度は三つに分かれています。
三つをまとめて保健機能食品と呼びます。違いは成分でも値段でもなく、国がその表示にどこまで関わっているかです。
許可を受けるもの
一つ目が特定保健用食品です。通称はトクホで、健康増進法第四十三条第一項の許可、または同法第六十三条第一項の承認を受けたものにあたります。
食品表示基準には、許可等を受けた表示の内容を、そのとおりに表示すると書かれています。書ける文言が、許可の時点で確定している仕組みです。
条件つきの表示をすることとされたものについては、「条件付き特定保健用食品」と表示することになっています。同じトクホの中に、二つの段があります。
栄養成分の表示についても決まりがあります。熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム、そして関与成分の含有量を表示することとされています。
関与成分というのは、その保健の目的を担っているとされる成分のことです。トクホの表では、五つの栄養成分のうしろに並ぶことになっています。
さらに、一日当たりの摂取目安量、摂取の方法、摂取をする上での注意事項も表示します。いずれも申請書に記載した内容のとおりに書くこととされています。
加えて「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」という文を表示することになっています。この文は三つの制度に共通して出てきます。
届け出るもの
二つ目が機能性表示食品です。消費者庁は、事業者が安全性と機能性の科学的根拠などを販売前に届け出れば、機能性を表示できる制度だと説明しています。
同じ説明の中に、はっきりした一文があります。特定保健用食品と異なり、国が審査を行わない、という文です。
そのため事業者は、自らの責任において、科学的根拠をもとに適正な表示を行う必要があるとされています。責任の置き場所が、トクホとは違います。
届け出の期限も決まっています。食品表示基準は、販売を開始する日の六十日前までに消費者庁長官へ届け出ることを求めています。
確認に特に時間を要すると消費者庁長官が認める場合は、百二十日前までとされています。どちらも行政機関の休日は日数に入れません。
届け出た内容は公開されます。消費者庁は、安全性や機能性の根拠に関する情報などを、同庁のウェブサイトで誰でも確認できるとしています。
基準に当てはめるもの
三つ目が栄養機能食品です。これは許可も届け出も要らず、決められた栄養成分について、決められた量の範囲に入っていれば機能を表示できる仕組みです。
対象の成分は、食品表示基準の別表第十一に並んでいます。数えると二十種類で、内訳はn-3系脂肪酸が一つ、ミネラルが六つ、ビタミンが十三です。
ミネラルは亜鉛・カリウム・カルシウム・鉄・銅・マグネシウムです。カリウムだけは、錠剤やカプセル剤などの形をした加工食品からは除かれています。
表の各行には、下限値と上限値、そして書いてよい機能の文が決められています。たとえば鉄の行は「鉄は、赤血球を作るのに必要な栄養素です。」です。
下限が二・〇四ミリグラム、上限が十ミリグラムと書かれていて、この間に入っていなければ、その文は使えません。文も量も、表がそのまま決めています。
注意事項の文も表に入っています。どの行にも「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。」という文が置かれています。
見分け方は容器にある
三つの違いは、容器の表示から読み取れます。「特定保健用食品」と書かれていれば許可を受けたもの、届出番号があれば届け出たものです。
栄養機能食品は、成分名と機能の文が表の言い回しどおりに並びます。書き方が定型なので、慣れると見分けがつきます。
機能性表示食品には、届け出られないものも決められています。特別用途食品、栄養機能食品、アルコールを摂取するための食品は、この制度の対象外です。
過剰な摂取が健康の保持増進に影響を与えている栄養素の、過剰な摂取につながる食品も除かれています。制度の入口で、あらかじめ絞られている形です。
どれにも当てはまらない食品は、保健機能食品ではありません。体への働きを示す表示は、原則として置けないことになります。
売り場で最初に見るべきなのは、成分名の派手さではなく、この区分の表示です。区分が分かれば、その文言が誰の責任で書かれたのかも分かります。
食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)